「三島さんの後姿」
　　　　　　　　　　　　　　長居公園伴走練習会「わーわーず」　塚田あゆみ

その日は、ゴールデンウィークの谷間の出勤日だった。
いつものように、ＮＨＫニュースを時計代わりにつけていると、
ひき逃げのニュースが流れてきた。盲人のランナーが亡くなったらしい。
え、と思い、画面を見ると、三島さんご夫妻の写真が。
お通夜の様子まで映されているのを見届けて、茫然と家を出た。
会社に着くと、みんな休み中の話で盛り上がっていて、
独りだけ浮いているような奇妙な一日だった。

三島さんたちとはあまり話したことがない。
しかし、私が長居公園に出入りし始めた頃から、すごいランナーだとは
聞いていた。
実際、練習で走っているだけでも、初心者の私には到底追いつけない。
奥さんが大会に出られるので、インターバルトレーニングをしているときも、
止まっているときに追いつけるかと思いきや、全然追いつかない。
そう、後姿をよく見ていた。走っている後姿がとてもきれいで、
自分もいつかはああいうふうに華麗に走れたら、と思いながら走っていた。
もう、軽々と私を追い抜かしていく三島さんたちはいないが、
その後姿を思い出しながら、少しでも近づけるよう走っていきたい。
　　　　　　　　　　　　　　塚田あゆみ

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