「三島御夫妻を偲んで」

            長居公園伴走練習会『わーわーず』 春井 正徳

 4月29日、ちょうど今から名古屋から金沢まで走る『さくら道のウルトラ
マラソン』へ、 宮本武さんの伴走で参加するために出かけようとしているところへ、
交通事故の知らせが飛び込んできました。
お通夜やお葬式にも出なければいけないから、さくら道はキャンセルしようかとも
考えましたが、 走るのが大好きな三島御夫妻のことですから、走っているならば
許して下さるだろうと、嫁さんに 代理で出てくれるように頼んで、宮本さんと
落ち合い、名古屋へ向かいました。お二人さん、ごめんなさいね。
さくら道を走りながら、お二人のことを思い出していました。
長居公園の練習会で、絶対にそんなことは言いはりませんでしたが、「その辺の
連中には負けへんで!」と 言わんばかりに、颯爽と走る康幸さん、格好良かったです。
子煩悩で、連れていった我が家の娘と練習をそっちのけで遊んでくれたり、
お正月には挨拶するなり、 お年玉を下さるためにあわてて更衣室へ戻って行った
早苗さん、娘にとっても大好きなおばちゃんです。
つい一週間前に一緒に走ったばかりなのに、もう二度とお会いできないなんて、
とても信じられませんでした。
現実に戻れば、歩道がなかったり、あっても狭い一般道を、交通事故の恐ろしさを
思いながら二人で 走るのはたいへんでした。「伴走は勇気や!」と言っていた
ランナーもいましたが、とてもそんな気にはなれません。
車が来れば立ち止まってやり過ごし、トラックでも来ようものならガードレールに
張り付くようにして進むのですが、 気ばかり使って胃がやられて、嘔吐の連続で、
ゴールにたどり着いたときには、体重が8kgも減っていました。
あれから、半年近く経ちました。
先日、さくら道に次ぐ大仕事の関西周遊山岳マラニックで、亀井健二さんの
伴走をしてきました。まだ、歩道のない一般道では、交通事故の恐怖が抜けません。
自分ではなく、他の人が車道を伴走して走っているのを見るだけで、胃が痛み、
嘔吐してしまい、結局また6kg体重を減らしてしまいました。
康幸さん、早苗さん、私はこれからも、ずっと伴走のお手伝いは続けていくと思います。
危ない道を走るときには、 またきっと胃が痛んで、お二人のことを想い出すでしょう。
でもこの場で約束します。一緒に走る人に 小さな怪我くらい負わすことは
あるかも知れませんが、 命に関わるような事故は絶対に起こしません。
貰い事故にも遭いません。安全第一を心がけて走ります。
今、私にできることは、それくらいしかありませんから。
(2001年10月17日)


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